2020.05.04 練拳閑話

馬虹師父 簡介

当研究室では、陳発科(ちん はっか)ー陳照奎(ちん しょうけい)ー馬虹(ば こう:敬称略)と伝わる、陳式太極拳をメインに学習しています。
詳しくは「当研究室について」を御覧いただくとして、ここでは、私の先生である馬虹師父と、師父の伝えられた太極拳についてご紹介したいと思います。


馬虹師父 プロフィール


  • 1927年、河北省深州市に生まれる。陳式太極拳第11代伝人。

  • 大学卒業後、長期にわたり教育、文筆、編集の仕事に携わるが、過労から体をこわし、健康のために太極拳を始める。

  • 陳氏18世、第10代宗師陳照奎に拝師し、陳式太極拳を学ぶ。数年後健康を取り戻し、拳技を深める。

  • このことから太極拳の健身作用と技撃価値を認識し、心血の全てを注ぎ、刻苦勉励し、研鑽に努める。

  • 北京に、河南にと、師について赴き、拳を学ぶ。併せて、3回ほど師を石家庄の自宅に招き、寝食を共にしながらその芸を受け、陳式太極拳の拳理、拳法の奥義をことごとく得る。

  • 残念ながら、師父は2013年の暮れに、ご逝去なされました。

師父の厳しさと愛情

馬虹師父はかなり厳しい方でした。
それは取りも直さず、陳照奎師爺や太極拳への深い愛情を表すものでしたが、とにかく厳しい。

また、その套路は僅かなところまで細かく規定されていて、人によっては覚えるのが大変、と感じるかもしれません。逆に、そこまで決めてくれていたほうが楽だ、という感想を持つ人もおられます。
いずれにしても、そのことごとくを要求される、「弟子(徒弟)」はたまったものではないのですが…

戦慄の北京合宿

その厳しさを表すエピソードを一つ。
師父に弟子入して学び始めて2年目の2005年。北京で、中国各地の弟子やその生徒が集まり、10日間に渡る合宿が行われました。

私はまだ一路も終わっていなかったのですが、こんな機会を逃せるはずもなく、一も二もなく参加を申し込みました。本当のところは、個人的に学ぶための訪中と、たまたま時期が重なってしまい、参加することになったのですが…。

具体的なスケジュールは割愛しますが、ほぼ一日中練習(当たり前)です。
その初日の夜のことです。師父が爆発しました。

理由は、誰一人としてメモするための道具を持ってきていない、ということでした。

実は僕は持っていました。そもそも僕以外中国人しかいないわけで、中国語で行われる講習にメモも取らずに望んだら、絶対に忘れます。なので、僕は持っていっていたのですが、他の弟子や生徒は持っていませんでした。
そのことに激怒されたのです。

曰く、

「お前たちは、一回聞いただけで覚えていられるのか」

と。

「書くこと」へのこだわり

師父はそもそも、プロフィールにも書いたように、文筆や編集などの仕事に携わっておられたこともある、完全文系の方です。
おまけに幼少の頃から武術を学んでいた、というわけでなく、40代になって始められたと聞きます。
そのせいか、単純に几帳面な性格のせいかはわかりませんが、陳照奎師爺についての学習記録をかなり細かく取っておられ、それを弟子たちにも求められます。

ついでにいうと、弟子の指導記録もとっておられました。(少なくとも私の指導中には書かれておられました。ダメ出しを集めた、デスノートならぬ弟子ノートです)

慌てた兄弟子たちが、メモ用紙と筆記具を調達しに行き、なんとか講習会は無事始まりました。
まあ、その後も動作に対するダメ出しが次々と続き、精神を削られていくのですが…

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